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あれは僕らが中学二年生の時の話だ。
当時、僕の所属しているクラス(かのんとは別々のクラスだった。)で一人の男子生徒がいじめに遭っていた。
主犯格は、学校における不良グループのリーダー格の男子生徒。彼は近隣でも札付きの悪漢で、しかも彼の父親は暴力団幹部。
当然誰も彼のやる事に逆おうとはせず、いじめは見過ごされた。
しかし、そんな彼に、校長先生にすら敬語を使わせる様な彼に、ある日、反旗を翻した人物が現れた。
かのんである。
その日偶然いじめ問題を知ったかのんは即座に行動に出た。
昼休みに僕を呼び寄せ、散々殴りつけた挙げ句、いじめの詳細を聞き出すと、その日のクラスHR時に僕らの教室で事件を起こした。
突然現れたかのんは、いきなり自身の常備している木刀で僕のクラス連中に斬りかかったのだ。
かのんの中では傍観者=加害者らしく、男女関係無しに問答無用で斬り伏せたのである。
最も、江戸時代から続く総合格闘術の総本山と言われている傭兵師流の跡取り娘にして、自身も傭兵師流総合格闘術師範代のかのんである。
いくら加害者といっても、直接いじめに加わっていない者には全くダメージが残らない様に打ち込んでいた様だし、(本人談)、主犯格によって、半ば強制的にいじめを行わされていた生徒等は軽傷で済んだ。
どうやら被害者の痛みを知れという事らしい。
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