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駅を出て、
大学までの道を歩く。
辺りは、制服を着た受験生で
埋め尽くされていた。
駅から徒歩10分
キャンパスは目の前だ。
吐く息は相変わらず白くて、
風は痛いくらい冷たい。
電車の暖房で火照った顔も
だんだんと冷えていく。
さっきまでの緊張は、
どこへいったんだろう。
不思議と、
気分は落ち着いていた。
会場に着いて、
自分の座席を探す。
教室のわりと後方、
真ん中の列の右側が俺の席だった。
座席に着いて、
上着を脱いで、
受験票と
筆記用具と。
そこで、一息ついた。
回りを見渡してみる。
教室は、緊張感でいっぱいで、
ピリピリとした空気が漂っていた。
けれどやっぱり、
俺は心は落ち着いていた。
回りを見渡す余裕すら、
あるくらいに。
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