84人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の仕事はトラック運転手。建設現場の土砂を運搬している。
あまりの賃金の安さと長時間労働に、転職する仲間も居たが俺には運転しか能がなかった。
(縁起悪い夢を見たなぁ。)
俺は愛車を点検した。まだまだローンの残る愛車には頑張ってもらわなければならない。
俺は母親が作ってくれた弁当を持ち、現場に向かった。
街はまだ真っ暗。経費を少しでも減らす為、現場までの約100キロを高速道路を利用せずに向かう。
(俺も転職を考えた方がいいのかなぁ?)
俺はハンドルを握りながら思った。
でも、他人と接するのが嫌いな俺はこの仕事が好きだった。
(最後の一人になったりして。)
それもいいな、と思った。
やがて、夜が明けてきた。春の日差しはどこか優しく、そして暖かかった。
「ふぁぁぁっ。」
俺は大きなあくびをした。春の日差しは眠気を誘う。
(気を付けないと。)
俺は干し梅を一つ口に放り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!