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食事の時は結衣とは全く話さず、むしろピザを夢中に食べていた結衣に驚いていた。
『今日はありがとう。ごちそうしてもらって。』
「いえいえ。今日は…短い時間だったけど…ありがとう…。」
あとは帰るだけ
僕と堀坂は同じバス停で、次のバスを待っていた。
急に何も話さなくなった結衣の表情をみると、かなり暗い表情だった。
バスの中に入っても結衣の暗い表情は変わらず、下をうつむいた状態だった。
結局、その後なにも話さずに到着した。
『じゃあ、また月曜日に。』
「うん…またね…」
随分表情が暗くなってたなぁ。
まっ、いっか。
僕は歩き始めた時、
後ろからいきなり手を捕まえられた。
後ろを振り向くと掴んでいた手の正体は結衣だった。
「待って!私の家に来ない!?」
あんまりにも突然の出来事に、僕は驚くしかなかった。
「このまま…終わっちゃうなんて…やだよ…」
驚いて言葉が出なかった。
確かなことは
結衣の頬に涙がでていたことだ。
女子にここまでお願いされたのは、初めてだった。
でも、何故か嬉しくとも何ともなかった。
めんどくさいだけだ、という思いが先走っていた。
しかし承諾しないと話してくれなさそうだし…
はぁ…
『分かったよ。行きます。』
すると今までの暗かった表情が嘘のような笑顔で、僕の手を強く握っていた。
「ありがとう!こっちこっち!」
どうしてこうなるんだろ…
なんで助けたんだろ…
僕は重い足取りで結衣についていった
この選択が
大きな罪だということを知らずに
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