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しばらく、見つめあっていると、藤村が言ってきた。
「……俺にどうしてほしいわけ?」
冷たく言われ、美雪はわけがわからなくなる。
「…人のファーストキス奪っておいて、よくそんな風に言えるよね!?あんたは何様なの!?そんなに偉いの!?」
「…まぁ、一応教師だし、お前よりは偉いかな」
「……もういい…帰る」
話にならないと思い、美雪はその場から離れたかった。
「…お前、何か言いたいことあったんじゃないの?そんな愚痴をわざわざ、駅を降りてまで言いに来たのか?」
「意味わかんない!それだけじゃ、ダメなの?頭にきたからスッキリさせたかっただけ!」
男って、ほんとにズルい。
自分が初めてって言うと、その初めてになりたがり、奪うだけ奪うとあっさり捨ててしまうんだ。
あの、西澤だって同じことをしたと思う。
藤村の態度が冷たいのも、私のファーストキス奪っていい気になってるだけだ。
私のことなんて、結局わかってくれるような人がいないんだ。
何だか、上手く伝えれず涙が溢れてきた。
涙を服の袖で拭こうとした時、藤村に手首を掴まれた。
「…さっきから何を隠してんだよ…」
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