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先ほどの西澤のこともあり、美雪は恐怖に怯える。
「…やっ…!離して!…離してよ…!」
それでも、藤村は離してくれず、美雪はジタバタと暴れる。
「…合コンで知り合った男に襲われそうになったか…?」
赤く残っている痣を見つけ、藤村が聞いてきた。
「…先生も…一緒じゃない!同じことをしてるじゃん!」
暴れながら、美雪が叫んだ。
グイッと手を持ち上げられた。
「怖かったか…?」
藤村はいつもと違う表情で、優しい目だということに気づき、美雪は暴れるのをやめた。
「…こわかっ…たよ…」
本当は、先生に優しく慰めてほしかったんだ…
美雪が自然に口から出た言葉に、藤村はギュッと抱きしめてくれた。
何も言わずに、ただ抱きしめてくれた。
好き…なのかな…?
きっと、私、初めから頭の中は先生のことでいっぱいだったんだ…
先生の胸の中で、美雪は改めて好きという感情を知った。
その告白は、きっと先生を苦しめてしまうだろうと思い、美雪はすぅっと息を飲み込んだ。
煙草の移り香とともに…
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