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「そうだ。美雪」
藤村は、自分の使っている机の側まで来ると美雪を呼んだ。
何気なくサラッと藤村は言ったが、美雪は顔から火が出そうなくらい赤くなった。
いつも【お前】なのに、今日は【美雪】って呼んでくれたからだ。
「……何、一人で茹でタコみたいになってんだ?」
「…だって…今、名前で呼んだから…」
恥ずかしくて、その場でもじもじしていると、藤村は呆れながら言ってきた。
「…どんだけでも呼んでやるよ。それより、早くこっち来い…」
チャイム鳴るぞと言うと、美雪は慌てて藤村の側に行く。
「これ、美雪のだろ?」
それは、藤村の本屋で買った本だった。
この本のおかげで、藤村と知り合うきっかけになった。←初めは嫌いだったけどι
それに!早く、この本を読みたかった!
はぁ~幸せ…
「……俺、その本投げられて、頭にぶつかったんだよな~」
幸せを実感して、受け取った本を抱きしめていると、藤村が耳元で囁いてきた。
耳に先生の息がかかり、何だかくすぐったい~!
「…ごめ…ん…なさい~」
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