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そんな元親のことを知ってか知らずか、元就はちらりと元親を見て、また前を向いた
当然、こちらを見たことを元親は知らず、じっと元就を見る
「…………元就ぃ~…」
「……なんだ、うっとおしい」
「うっとおしいはないだろ?仮にも恋人に向かっ
「我の恋人は日輪だ」
「日輪って太陽じゃねぇか!?」
「少なくとも海に出てはアホなことをし、城へ帰れば南蛮のカラクリにうつつを抜かすようなアホを恋人に持った覚えは更々ない」
「酷いっ!!そんなにアホアホ言わなくてもいいだろ!?」
「一番分かりやすい言葉を使って苛めてやっているのだ。喜べ」
「アタシは苛められても喜べないっ!!!!」
「喜ぶようにならねば我と付き合うなど、できぬこと。さぁ、喜べ。以前、猿飛にもらった鞭で遊んでやろう」
「いやぁああぁぁ!!!!!!!!!!そんなのいやだぁ!!!!!!」
元就に宿ったドS心を敏感に感じ取った元親は逃げようとしたが、腕を元就に取られた
しかし、元親は元就と違い、海の荒波に揉まれて育った
これくらいすぐに離すことはできると元親は振り向き様に元就を見た
そう
見てしまった
「一緒にいたいのだ。いいだろう、元親?」
そこには滅多に見ることのできない元就の満面の笑みがあった
もちろん、元就LOVEの元親がそれを無下にできるはずがなかった
「も、もとなっ…!!」
「イヤなら構わぬ。元親には頼らぬ」
「いやとは言ってねぇ!!」
「先程、言っていたではないか」
「言葉の文だ!!!!」
そこまで言った元親は不意に気が付いた
元就は確かに笑っている
笑ってはいるのだ
目が全く笑っていないが
「それでは、我に付き合ってもらおうか。存分に」
「えっ…やっ……その……」
「大丈夫だ。初めては優しくが我の趣向だ。鞭だけで勘弁してやろう」
「やっぱりいやぁああぁぁあぁあぁあぁぁ!!!!!!!!!!」
元親の悲鳴はしばらく響き続けるのだった
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