蒼の竜、紅の虎若子

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清々しい空気の中、一人の少女が刀を携え、愛馬に近付いていた 「………」 愛馬の横につくと、右、左、前、後ろを順番に向き、もう一度確認すると、華麗に馬に乗った 「行くぜぇ!!HA!!!!」 馬に乗った少女は掛け声と共に馬を走らせた 己が居城である城を抜け出すのもあと少し そう思い、内心、油断していた時のことだった 「政宗様ぁああぁぁ!!!!!!!!」 「…げ」 城門に一人の女性が佇んでいた 女性のものすごい形相に止まるしかないと思った少女は渋々、馬から降りた 「…なんだよ、小十郎」 「なんだではありません。城を抜け出してどちらへ向かうおつもりで?」 「んなの分かってるだろ?」 ニヤリと少女は笑った 「俺の愛しのMy sweet honeyに会いに行くんだ!!!!」 「政務が終わってないのに行かせる訳がないでしょう。諦めなさい」 少女の襟首を掴むと強引に引っ張り、城へと戻っていく 「いぃやぁだぁ~!!!!離せ、小十郎!!!!幸の所へ行くんだぁああぁぁあぁ!!!!!!」 「溜まっている政務を片付けてからにしてください!!!!」 こうして少女、伊達政宗は城へと連行されていった 奥州を統べる双竜 独眼竜、伊達政宗はまだ年端のいかない少女だ しかし、その年ですでに奥州を統べ、一国の主である彼女は数多くの武将の中でも実力者だといることが分かる だが、彼女には一つだけ欠点があった それはたった一人のライバルの存在だ 「幸に会いたい、幸に会いたい、幸に会いたい、幸に会いたい、幸に会いたい、幸に会いたい、幸に会いたい、幸に会いたいぃいぃぃいいぃ……」 「さっさと政務をこなしてくださればいつでもどうぞ」 「小十郎の鬼!!!!」 政宗と互角に戦い、引き分ける一人の武士 真田幸村の存在 戦場で彼女と出会った政宗は彼女をライバルとして認め、度々会いに行く それどころか、彼女の容姿に一目惚れし、会う度に口説くが彼女の持ち前の鈍感さでことごとくフラれる一方だった
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