蒼の竜、紅の虎若子

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政務を行う為、政宗は部屋に閉じこもることになったが、その仕事の量にやる気をなくしていた 「……なんでこんなにあるんだよ?」 「政宗様が政務をサボり、真田の所へ遊びに行ってばかりだからです」 片倉小十郎 竜の右目と称される彼女は政宗の片腕であり、お目付け役でもある その容姿ゆえに極道の妻のようだと影で言われていることを彼女は知らない 「…これを終わらせたら幸に会いに行っていいんだな?」 「えぇ、ご自由に」 やる気を出してくれるだろうと思った小十郎は内心安堵していた その安堵は数秒後に壊されたが 「なら、さっさと済まして幸の胸に触れてやるっ!!!!」 その不埒とも取れる言葉を小十郎が逃すはずはなかった 「……真田の胸に触れるとはどういうことですか、政宗様?」 「この前会った時に触ったんだよ♪幸の胸はいいぜぇ~。でかい上に形もgoodでsoftだ。手触りもいいし、正にperfectだ」 怪しげな笑みを浮かべる主に胃が痛むのを小十郎は感じた しかし、当の政宗はそんな小十郎の心情を知らず、頭の中でひたすら想い人の想像をしていた 「今頃、何やってるんだろうなぁ、幸。今の時間なら大体鍛練してるか……幸、破廉恥、破廉恥って言ってる割には自分の格好の方が破廉恥なことには気付いてないんだよ。槍を使う度に胸がすごい揺れてさぁ…まぁ、そこも大好きなんだけどな♪」 変態オヤジのようなことを話している政宗に小十郎は密かに目に手を当てて嘆いた 所変わって甲斐は上田城 「うおぉぉぉ!!!!!!」 琥珀色の長い髪を一つに束ね、赤い衣装に身を包んだ少女が二槍の槍を持ち、鍛練を積んでいた 彼女の名は真田幸村 日の本一の兵、虎の若子と呼ばれる若き武将だ 燃え盛る炎のような少女は一人、踊るように槍を振るった そして、その度に溢れんばかりの胸が揺れている 政宗曰くそれはロマンの詰まったモノ、らしい 「嬢~?そろそろ止めてお茶にしない~?」 唐突に聞こえた女性の声に、幸村は動きを止め、振り返り満面の笑みを見せた 「佐助っ♪」 幸村に名を呼ばれた女性は手を降る それを見た幸村は槍を手に駆け寄っていく これは上田城でよく見る光景だった 幸村に仕えるくの一である猿飛佐助は凄腕の忍だ
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