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朝、関口は息苦しさを感じて目を開けた。
「…………」
まだ覚醒していないため、視界がぼやける。
二、三度瞬きをすると、やっと視界がしっかりしてきた。
「…………榎さん」
息苦しさの原因である男、榎木津に話しかける。
「ん~…やあ、関。おはよう」
まだ眠そうな顔で、関口に笑いかける。
「どうしているんですか…?それと苦しいので離して下さい!」
榎木津から逃れようと暴れるが、びくともしない。
「抱きまくらがないから寝れなかったんだ。だからまだ眠い!もう少しこのままでいろ!」
関口の胸に顔を埋めるように抱き着く。
「抱きまくらとは僕の事ですか!!?」
榎木津はその問い掛けを無視する。
関口は溜め息をついて、暴れるのを止めた。
「あと一時間だけですよ…」
「関は暖かいなあ…」
榎木津の満足そうな声にまた溜め息を漏らした。
「…………関、僕以外の奴に同じ事をしたら許さないからな」
「榎さん以外にはいませんよ、きっと…」
苦笑する関口に強く抱き着く。
「痛いですって!!」
「この鈍感猿めが…。京極もマスオロカも狙っている…」
「へ?何か言いましたか?」
榎木津の声が聞き取れず、聞き返した。
「何でもないよ」
――君は僕だけの抱きまくら
→end
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