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「す、すまない、アキ」
「オ、オトツァン。ソレハ言ワナイ約束デショ」
あ、ダメだ。彰人の目が死んでる上にいつも言うはずのないようなボケをかましている。
くぅ……まさか姉さんの料理がここまで人を変えてしまうとは。
なんだか申し訳ない気持ちで泣けてきてしまった!
「ご、ごめんなぁ!!もう姉さんには絶対料理しないように言ってあるからさ!!もう……もう大丈夫だからなぁ!!」
俺は目に涙を浮かべながら、彰人の手を両手でしっかりと握り締めた。
こうやってなんとか安心させることしか出来ない自分の無力さが悔しいぜ!
『きゃあっ!!』
と、そんな風に俺が彰人の手を握った瞬間に近くの女子グループから悲鳴……というか歓声が上がる。
な、なんだぁ?俺なにかやったか??
「なにやってんのよ、あんたは」
その言葉と共に俺の頭に軽い衝撃が走る。
振り返るとそこには一人の少女が立っていた。
「おや、金髪ツインテールに強気そうな顔。でも実はツンデレの羽川 遙(はねかわ はるか)さん」
「名前以外何一つあってないわよ、バカ」
そう言って再び俺の頭をぱかんと叩いてくる。
この本当は栗色の髪を後ろで三つ編みにし、眼鏡をかけている羽川さんは我がクラスの委員長などをやっている。面倒見がよく、男女関わらず、先生にまで人気がある人格者だ。成績もいいほうだしな。
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