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「姉さん、起きて~」
ごんごんと『刹那』と書かれているプレートが下がっている扉をたたく。
そう、俺の朝一番の仕事とは姉さんを起こすこと。撫子母さんが親父の単身赴任についていった今、俺が起こすしかない。
え? 目覚まし時計? ああ……五個目が犠牲になった時点で設置
するのをやめたよ。
「姉さ~ん!」
返事がないため更に語気と扉をたたく力を上乗せして呼びかける。
すると蚊の鳴くような声で
「……あと……五分。」
そう聞こえてきた。
断言してもいい。そう言って五分後に起きてきたやつはいない。
はあ、とため息をつき、ガチャリとドアを開けて姉さんの部屋に入る。
机やパソコン、コンポが置かれたあまり女の子らしくはない部屋のベッドに歩み寄る。
当然ながらそこには俺の姉、刹那姉さんが眠っていた。
少し赤みがかったロングの髪、釣り目がちな瞳は今は閉じられている。
「ったく。毎度のことだけど全く起きる気がないな」
本来なら殴り起こしたいとこだが、この寝顔にそれは少々やりにくい。
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