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「お姉さま、いくらなんでも今の暴力は理不尽では?」
ぼんやりと俺は天井のライトに向かって語りかける。
「うっさいわね! あ、ああ、あんたあんなセリフどこで覚えてきたのよ!?」
「姉さんの愛読書『私と執事の×××』二巻より、セバスチャンのセリフ」
「っきゃあぁぁ!! な、なんで!?」
「そりゃ、リビングに放ってあったら読むでしょ」
「普通は読まないわよ、ばかっ!」
その言葉と共に枕が飛んできて、ばふっと俺の顔にぶつかる。
まあ、これだけ騒いで動いたならもう頭も体も起きただろう。
俺は仰向けに倒れたまま、話を切り替えるため口を開く。
「ほら、もう目覚めたでしょ? とっとと降りてきてよ」
「ふんだ。人の本勝手に読んだ挙句、あんな恥ずかしいセリフを耳元で囁く弟の言うことなんて聞きませんっ」
あ、拗ねちゃった。ったくもう、自分が悪いくせに。
まあ、でもこのまま放っておくと意地でも降りてきそうにないしなぁ……。
朝からやるのは面倒なんだが、仕方ない。
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