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「そうだ!この後何するか決まってるか?もしよければ案内するけど…」
「えっ?いいのか!?助かるよ!」
実は、ここって広すぎて1人だと迷うって思ってたからマジで助かる!!
「じゃあ決まりだからな!」
「僕も行くからねぇ!」
「サンキュー!」
また笑うと……
「「だからダメだって!」」
叱られた。
「じゃあ、お昼になったら呼びにくるねっ!」
「そっからここのこと教えるから」
「あぁ。ありがとう」
「気にすんな。お隣さんだろ?」
「そうだな。じゃ、じゃあ!お前らが困ってるときは俺が助けるから……」
「ありがとうっ!」
「そりゃ嬉しいけど…。どうしたんだ?」
「え?」
俺、何か変なことしたかな?
香奈も何かに気づいたのか驚いた顔をしていた。
「何で……そんなに辛そうなの?」
少し泣きそうに言われた香奈の言葉に驚いたのは俺自身だった。
「辛そう……?」
「大丈夫か?」
「うん…」
「無理、すんなよ?」
ポンと頭に乗せられた手が心地よい。
じわりじわりと俺の心にも温かさが伝わるようだった。
香奈が届かないのに雅人と同じことしようとしているところが微笑ましかった。
「ありがとう。大丈夫だから……」
「えっと、俺たち行くよ。じゃあ、またな!」
「ふぇ?ま、雅人!?」
たぶん、俺を1人にしようとしてくれたんだろう。
香奈を引っ張って行った。
しっかりした雅人。
ちょっと抜けてる香奈。
あの2人だからうまくいくんだろうな。
心の中でもう一度お礼を言ってから部屋に戻った。
俺が辛い顔?
くそっ。
何やってるんだよっ!
ここに来たのは過去を忘れるためなのに……。
忘れるんだ──……
絶対に。
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