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すると、さっきより甲高い声が聞こえた。
また誰か来たのか?
興味ないけど…。
「これで注文できたんですか?」
「うんっ!もうすぐ持ってくるから待ってようねっ!!」
「はい」
楽しみに待っていると、雅人が嫌そうな……香奈が驚いたような顔をしてこっちを見ていた。
さっきまで騒がしかったのに今は静まりかえってるし…。
「どうかしたんですか?」
「う、後ろ…」
雅人がゆっくりと指を差した。
後ろ?
一体何があるんだ?
そう思いながら振り返る。
「なんかようですか?」
でかいやつが見えたからとりあえず聞いてみたけど……こいつどっかで見たような……。
「あー…」
思い出した。
こいつ『青龍(セイリュウ)』の総長だったな。
え……?
何でいるんだよっ!?
ふざけんな!!
俺はなんのために転校したと思ってんだ!?
“あのこと”を忘れるためなのに……!!
青龍は何かと白虎に突っ掛かっていたチームだ。
白虎とどちらが強いかでいつも競っていた。
ずっと俺が見ていたためかそいつは
「何見惚れてんだ」
などと言ってきた。
はい?
誰が誰に見惚れるって?
自惚れんなよ!!
「違います。ただ、何のご用か気になっただけです」
キッと睨み付けると、そいつ……たしか名前は菅原真樹(スガワラマサキ)はニィッとニヒルに笑った。
「お前…おもしろいな」
「は?意味わかりませ……うわっ」
「紘っ!」
雅人が叫ぶが時すでに遅し。
菅原の腕のなかにいた。
「何する……ん…!」
俺の唇は菅原のそれでふさがれていた。
さらに周りの生徒の叫び声がでかくなったのも……雅人と香奈が呼ぶのも俺には聞こえなかった。
「…ん……おま……んぁ」
抗議しようと開いた口には舌が入り込み、さらに深くなってしまった。
ぴちゃぴちゃといやらしい水音が聞こえ、同時に顔も熱くなる。
「……ゃめ…ろ……ふぅ……」
頭がボーッとしていて何も考えられなくなっていた。
ようやく菅原は離れ、俺たちの間をどちらのともわからない銀の糸が引く。
俺は立っていられなくなり、座り込んだ。
「何?真樹そういうのも守備範囲?」
意外そうに菅原の後ろから声がした。
あぁ、こいつは確か青龍の副総長の神野湊(カミノミナト)だ。
なんだよ……、ここには青龍のメンバーが集まってんのか?
それより今は……。
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