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────Side菅原真樹────
何なんだよ、あいつ。
呆然としながら立っている俺に山本と少しおどおどした感じの山崎が近づいてきた。
「会長。残念ですが、この前の話はなかったことに」
「ぼ、僕も…」
この前の話と言うのは生徒会役員にならないかという話だ。
俺はどうでもいいんだが……、この時期になると次期生徒会候補のやつを数名呼ぶらしい。
この時期って言っても本当は4月くらいにするらしいが今はもう5月だ。
正直、興味なかったから忘れてた。
「そうか」
「俺の友達を傷つけるやつは絶対に許しませんから」
隣で山崎もこくこくとうなずいている。
この2人は2年の中では人気がかなり高い。
おそらく次は山本が会長、山崎が副会長くらいだろうな。
そんなやつらに大切に思われてるのか……?
ますます興味深い。
「おい」
「何ですか?」
「追ったほうがいい。あいつの顔見たか?」
「…?いえ」
「あの顔は自分をせめていた。過去に何があったかわからないが……」
「………あなたに言われなくても追いますぅ!!」
今まで山本の隣にいた山崎が今度は前へ出てきて言った。
「そうか」
「失礼しますっ!」
「か、香奈!?」
山崎は山本を無理矢理な形で引っ張って行った。
「あ~ぁ、フラれちゃった?」
「違う」
「また真樹の『本命にさえフラれなければ失恋とは言わない』って理論?」
「何だその理論…」
「えー!だって探してるんでしょ?ビャクのこと」
ビャクって言うのは白虎の総長の通り名だ。
俺は青龍の総長だからセイらしい。
単純なやつがつけたんだろうな。
俺がそう呼ばれることにも慣れてきたころ、ある噂を耳にした。
ビャクが行方不明になった。というものだ。
俺は今、行方不明になっているビャクを探している。
あいつはある日を境にいなくなってしまった。
白虎も抜けてしまったらしい。
俺は……あいつが
好きだ
いつからかなんていうのはわからない。
気づいたらあいつのことばっかり考えていた俺がいた。
あいつが必要だと感じている俺がいる。
なんとしても手に入れてやる。
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