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風が吹く。
髪が揺れて少しくすぐったいけど逆にそれが気持ちいい。
あれからどのくらいの時間がたったんだろう……?
すっかり寝てしまっていたようだ。
「……ぅ……こ……」
「んぅ…?」
誰だ…?
頭を軽く撫でながら誰かが俺を呼んでいた。
どこか懐かしい優しい声で……。
「…こう……紘…。起きろ、紘」
「……むぅ。だぁれ?」
まだ呂律がまわらなくて子供みたいなしゃべり方になってしまった。
「……っ!お、お前……紘、だよな?」
「……こう?」
そうだ。
俺は紘……透桜紘だ。
何でそんなこと聞くんだよ。
しっかり閉じていた瞼をゆっくり開けると心地よく降り注ぐ光が眩しくて、顔をしかめてしまった。
「やっぱり……紘だ!」
「ふぇ?」
光にようやくなれて、俺の瞳にうつったのは……
「りゅ……竜司……?」
そこに、いたのは
白虎の副総長……柊竜司(ヒイラギリュウジ)の姿だった。
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