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「夕食はどうする?」
部屋に入ろうとすると隣から雅人の声が聞こえた。
「部屋にあるものですますよ」
「りょーかいなんだよっ!じゃあ、明日学校は一緒に行こうねぇ!!」
「うん。職員室とかどこにあるかわからないから頼むよ」
「うんっ!」
「何か困ったことがあればすぐに言えよ?」
「おう。ありがとう」
素直にお礼を言って中に入った。
明日から授業……マジでめんどくさい。
リビングまで行くと…
「よぉ。待ってたぜ、紘」
「………竜司」
柊竜司の姿があった。
いや、おかしいだろ!?
だってここは1人部屋だし、カードキーがないと開かないだろ?
「何で……ここに」
「紘に会いたかったから」
にこりと優雅に笑った。
本当に輝いているから逆に怖い。
「てか、俺が聞きたいのは──」
「どうやってここに入ったか……でしょ?」
「う、うん」
さっきと変わらない笑顔を見せていた。
俺……どうなるんだ?
もうすでに俺だってバレたし…。
怒られるのは当たり前だけど……殴らないでほしいな。
身勝手だけどさ…。
「改めて、久しぶり」
「…ひ、久しぶり」
「ふふっ…。そんなにかしこまらないでいいよ」
いや、ここは俺の部屋ですから。
何でくつろいでるんですか?
「飲む?」
そう言って自分が飲んでいたティーカップを持ち上げて中の紅茶をみせる。
「あ、うん」
それは俺のティーカップだよね……?
あ、今食べたお菓子も俺のじゃないかな?
などといった疑問より俺は正直この場から逃げたかった。
いや、逃げたい。現在進行形で。
「まさか、逃げたりしないよな?」
「…はい」
脅しているとしか思えない殺人的な笑顔を向けられて断れるやつがいたら出てきてほしい。代わってやるから。
ていうか、代わってください。
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