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この時、私は健康診断の真っ最中だった。
会社で年に1度行われるモノ。
とは言え、病院に行くワケではなく、会社に医師を呼んでのそれは、高校時代のモノと大差なく、それ程大袈裟なモノではないが。
彼は取り付けたのとは逆の手順で手早く器具を外して行く。
「もう、服も戻して良いですよ」
一応、器具を外す時にある程度は戻してくれたが。
あられも無い姿には変わりなかった私に声がかかる。
私は上体を起こし、ベッドの上で衣服を整える。
そんな私に背にし、医者は機械に向かっていた。
が、おもむろに言った。
「普段、胸が痛む事とか…あります?」
……はい?
「あ…えぇ。時折そんな感じも無くは…」
思っても見なかった方向からの言葉に、私はやや間の抜けた返答をした。
「…そうですか」
ん?えー…何でしょう?
「あ、次の問診は隣ですから。衣服をゆっくり直してからで良いので移動して下さいね。お疲れ様でした」
そう言うと、医師はカーテンの外に出て行った。
いや、何?
なんか最後の言葉がひどく気になるんですけど…?
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