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「こうやって手を繋いで、毎日一緒に遊んだよね??」
「し、知らない!!;」
「人形遊びでは、俺がいつも赤ちゃんの役で、夏子はお母さんの役だった……」
な、なんで突然そんな昔話を…
「ねぇ夏子、覚えてる??
昔はこのベッドで、よく一緒にお昼寝したよね?」
……もちろん覚えてるよ。
だって
健司と一緒にいたあの時間は
毎日がキラキラしていて
宝物のような時間だった。
「夏子と過ごす毎日が、ホントに楽しくて仕方なかった。
でも………」
健司は私の手を離すと、スッと立ち上がった。
「健司………?」
「…………。」
突然昔話を始めたかと思えば
今度は、突然口を閉ざしてしまった。
「ねぇ、夏子……」
「なに?」
健司は寂しそうな目をして私を見る…
「俺のこと嫌い?」
「えっ!!?」
ま、またまた
いきなり何言って……;
「ねぇ、嫌い??」
そう言って、私の顔を覗き込んでくる。
だから近いってば!!!;
「き、嫌いじゃないけど……;」
私は健司から目をそらし、しどろもどろで答えた。
目を合わせなくても、健司の視線がまっすぐ私を見つめているのが分かる……
「じゃあ俺のこと、好き??」
「え……;」
健司のこと………
「夏子………」
だから近いってば!!!!!
思わず私は、近づいてくる健司の胸を力いっぱい押した。
健司はドスンと音を立て、ベッドから落ちた。
「いって~……;」
「ご、ごめん!!大丈夫!!?」
「何もそんな力いっぱい拒否んなくても……」
「だって、健司がいきなり変なこと聞くから…」
「変なこと??
俺にとっては、全然変なことじゃないよ。」
健司は真剣な目で、私を見る
その目に
胸の奥がどんどん熱くなる
「まぁ、いっか。」
健司は頭を掻いて、立ち上がった。
「俺達はしょせん、『ただの幼なじみ』だもんな。」
そう言って、部屋から出て行った。
バタンとドアが閉まる音が響いて、私は一人
その場に取り残された。
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