幼なじみの恋

11/21
前へ
/70ページ
次へ
健司が出て行った後も、胸の熱は下がらない。 それどころか どんどん脈打っていくのが分かった。 ドクン…ドクン… どうして こんなにも胸が熱いの? どうして こんなにも胸が締め付けられるの?? 教えてよ、健司…… 次の日 目を覚ますと健司はいなかった 「けんちゃんなら新聞配達のバイトに行ったわよ? 朝からホント大変ね~」 そう言って、お母さんは2人分のお弁当を詰める。 私は朝のニュースを見ながら、お味噌汁をすすった。 「はい、これ。」 お母さんの手から、お弁当を2つ渡された。 「こっちがけんちゃんの分ね。 ちゃんと学校で渡してあげるのよ??」 「分かってるよ。」 私は嫌々お弁当を2つ受け取り、学校に向かった。 学校に着いたが、健司はまだ学校に来ていなかった。 予鈴が鳴って、出席を取る瞬間に健司が教室に入ってきた。 「今日もギリギリセーフ!!」 「バカもん、ギリギリで間に合わす奴があるか。」 先生のツッコミに、クラス中が笑い声を漏らした。 ホント 朝からバカな奴…… 毎朝毎朝、ギリギリに登校してきて どれだけ寝坊したら気が済むんだって思ってたけど… 新聞配達のバイト…してたんだね。 私、どれだけ健司のこと知らないんだろう。 昼休み 私は健司のもとに向かった。 健司は5、6人の男友達の中にいて、声がかけ辛い… お弁当を渡さない訳にもいかず、私は勇気を出した。 「け……竹下君!!」 健司は驚いた表情で私を見た。 やっぱり苗字で呼んだのは変だったかな… でも、今更下の名前で呼んだら 絶対周りから茶化されるのがオチだ。 「何、松本さん?」 健司は優しく微笑んだ。 ほら、健司だって苗字で呼ぶし 全然変じゃないんだ。 でも どうして、こんなにも寂しいんだろう。 「あ、あの…お弁…………」 私の持つ紙袋を見て、健司は察してくれたらしく 「ああ、例の先生に頼まれていたやつか。」 と、周りから違和感のないように対応してくれた。 「ちょっと職員室行ってくるわ。行こ?松本さん……」 健司の後を慌てて追いかけて、教室を出た。 そのまま、健司は人の来ない体育館裏に移動した。  
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加