13人が本棚に入れています
本棚に追加
健司が出て行った後も、胸の熱は下がらない。
それどころか
どんどん脈打っていくのが分かった。
ドクン…ドクン…
どうして
こんなにも胸が熱いの?
どうして
こんなにも胸が締め付けられるの??
教えてよ、健司……
次の日
目を覚ますと健司はいなかった
「けんちゃんなら新聞配達のバイトに行ったわよ?
朝からホント大変ね~」
そう言って、お母さんは2人分のお弁当を詰める。
私は朝のニュースを見ながら、お味噌汁をすすった。
「はい、これ。」
お母さんの手から、お弁当を2つ渡された。
「こっちがけんちゃんの分ね。
ちゃんと学校で渡してあげるのよ??」
「分かってるよ。」
私は嫌々お弁当を2つ受け取り、学校に向かった。
学校に着いたが、健司はまだ学校に来ていなかった。
予鈴が鳴って、出席を取る瞬間に健司が教室に入ってきた。
「今日もギリギリセーフ!!」
「バカもん、ギリギリで間に合わす奴があるか。」
先生のツッコミに、クラス中が笑い声を漏らした。
ホント
朝からバカな奴……
毎朝毎朝、ギリギリに登校してきて
どれだけ寝坊したら気が済むんだって思ってたけど…
新聞配達のバイト…してたんだね。
私、どれだけ健司のこと知らないんだろう。
昼休み
私は健司のもとに向かった。
健司は5、6人の男友達の中にいて、声がかけ辛い…
お弁当を渡さない訳にもいかず、私は勇気を出した。
「け……竹下君!!」
健司は驚いた表情で私を見た。
やっぱり苗字で呼んだのは変だったかな…
でも、今更下の名前で呼んだら
絶対周りから茶化されるのがオチだ。
「何、松本さん?」
健司は優しく微笑んだ。
ほら、健司だって苗字で呼ぶし
全然変じゃないんだ。
でも
どうして、こんなにも寂しいんだろう。
「あ、あの…お弁…………」
私の持つ紙袋を見て、健司は察してくれたらしく
「ああ、例の先生に頼まれていたやつか。」
と、周りから違和感のないように対応してくれた。
「ちょっと職員室行ってくるわ。行こ?松本さん……」
健司の後を慌てて追いかけて、教室を出た。
そのまま、健司は人の来ない体育館裏に移動した。
最初のコメントを投稿しよう!