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「ん────………ッ」
「安心しなよ。
俺、けっこううまいからさ。」
手で口を抑えられ、鼻から漏れる声だけが部屋を包んだ。
健司は私の胸の膨らみに手を重ねると
下着をずらし、包み込むように触りだした。
ビクンっ
体が魚のように跳ねた。
「夏……こんなにもいい体に育ってたんだな。」
口を塞がれたことによって、両腕は解放されたが
私は抵抗することができなかった。
私を見る、健司の目……
初めて見る
健司の…男の顔………
まるでその目に吸い込まれるように、私はぼんやりと健司を見つめた。
こんな健司知らない……
こんな健司
…健司じゃない!!!
ハッと我にかえり、私は健司の横腹に思い切りグーパンチをおみまいした。
「いぃっ!!?;」
苦痛に歪んだ表情を見せ、健司は私から離れた。
「ハァッ……ハァッ……」
殴っておきながら、私の胸はとてもドキドキしていて
呼吸も荒れていた。
「ちっ、マヂになってんじゃねーよ。」
「うるさいバカっ!!
して良い事と悪い事がある!!!」
健司を部屋から追い出して、その場で腰を落とした。
………怖かった。
「もうっ、ホント最悪!!!」
自分の体を握りしめ、ガタガタと震えた。
健司
健司…
ねぇ、あなたはいつから『男』になったの?
『なっちゃん──…』
あの時の健司は、もうどこにもいないの??
『僕ね、おっきくなったらお金持ちになって、それからウルトラマンみたいに強くなって、悪い奴らからなっちゃんを守ってあげる!!!』
……嘘つき
もう
健司なんて大嫌いだ
夕食に呼ばれるまで、私は自分の部屋で体を丸くして過ごした
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