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「入っていい??」
「ダメ。」
「おじゃましま~す♪」
「ちょっと!!!」
私の言葉を無視して、健司は私の部屋に入りドアを閉めた。
「勝手に入って来ないでよ!!」
「ちゃんと断り入れたし。」
「私は許可してない!!!」
「まぁまぁ、あんま怒ってばっかだとシワが増えるよ、なっちゃん♪」
だ、誰のせいだと思って…!!
「……何の用よ?」
「ああ…はい、これ♪」
そう言って健司から手渡されたのは、ボールのようなおにぎりだった。
「飯全然食ってなかいから腹減ってるだろ??
健司様特製の握り飯だ♪」
「は??」
こんな不細工なおにぎり…
一目見て、お母さんが握ったんじゃないって分かるよ。
「でかすぎるし……」
「ご飯3杯おかわりする夏子なら余裕だろ??」
「…………。」
いちいちむかつく言葉ばっかり言ってきやがる……
「いくらなんでも多すぎる。」
「そう?じゃあ残った分は俺が食べるから、夏子は食べたいだけお食べ♪」
そう言って
あの時と同じ無邪気な笑顔で私を見る健司
悔しいけど
昔から、私は健司のこの笑顔に弱い……
巻いてあるラップをはがし、おにぎりを一口食べてみる。
もぐもぐ……
ただの塩おにぎりだ
おいしくも、まずくもない。
ただ…
とても、食べやすい
「うまいか?」
健司は嬉しそうに私を見る
そんな目で見ないでよ
ずるいよ…
おにぎりを半分食べ、残りはラップに包み直した。
ホントはまだまだ食べられたけど、食べる姿をじっと健司に見られていて
なんだか恥ずかしかった。
「あれ、もういいの?」
「うん。」
健司はふーんと私を見ると、隣に腰をおろした。
「ちょ、用が済んだなら出てってよ!!!」
「なんでそんな冷たいこと言うかなー…なっちゃんは。
せっかく久しぶりに夏子の部屋来たんだから、もっと楽しもうよ。」
はぁ?
この状況で、どう楽しめと??
「アンタがいると全然楽しくない。早く出てって!!」
「昔は一緒に人形遊びした仲なのに……」
「そんな昔のことなんて忘れたわよ!!」
「俺はハッキリと覚えてるよ。」
健司はいきなり私の手を握ってきた。
心臓が、トクンと跳ねた。
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