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『コケッコー、コケッコー。オッハー』
愛用の目覚まし時計、コッコちゃんの危ないテンションで俺の朝は始まる。
………なんつって。
本番はここからだ。
『オッハー、オッハー、オッハーッ!!』
4回めの“オッハー”で、コッコちゃんにつながれた導線に電気が走って、電気ポットとトースターの電源が入り、トーストが焼け、お湯が沸く。
それと同時に、トースターの“チンッ”という衝撃に反応して、紐で壁に釣るされていたフライパンが、紐を通じてベットに寝ている俺のところまでたどり着く。
そのあと少し遅れて、お湯が沸く振動に反応して、同じく紐でつながれたおたまとフライ返しの到着だ。
そこで、おたまとフライ返しがフライパンに激突して、素晴らしい音を鳴らす。
終いには、朝の耳にはよろしくないその音に反応したお隣さんが壁を蹴って、鈍い音を出す。
これで、やっと岡本 健一のマイライフが始まった。
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