-プロローグ-

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第〇〇回全国小学生テニス大会決勝。 ザザァッ 相手はアプローチショットを絶妙なコースに入れボールをコートの外に追い出しボレーに出た。 それを赤い帽子を被った少年はコースを読んでいたかのように華麗なステップであっという間にボールに追いついた。 そして綺麗な片手のバックハンドのダウンザ・ラインでエースを取った。 その瞬間拍手と同時に会場がざわつく。 テニス雑誌「庭球侍」の記者たちも驚きを隠せない。 「なんて球うちやがるんだ!」 「小学生が打つ球じゃねぇ…」 「これが黄金陸斗の力…まさに…」 「40-0、黄金マッチポイント!」 陸斗はゆっくりとサービスラインにつく。 右手でボールを3回突きトスを上げるとサーブのモーションに入った。 柔軟性のある足をくのじに曲げ、左腕はムチのようにしなりながらラケットはボールを捉える。 「ハァ!!」 快音と共にボールは相手コートに吸い込まれるように突き刺さった。 「ゲームセットウォンバイ黄金、6ー0!」 「"黄金(おうごん)の左腕"だ!」
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