「ヴァルハラ」Vol.2

港街「ラクアナ」

　　　　　　　　　　　　　　「うわ～!!海だ!!」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　街を流れる潮風に髪をなびかせながら、俺とリノアは浜辺を歩いている。　　　　　　　　　この街には昨日の夜に着いたばかりで、まだ街の中を見てない。今日は、この街を見て回ることになっていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ん～!!…良い天気!!」　　　　　　　　　　　　　　　　　海を見ながら背伸びをするリノア。…彼女の本当の名前はC7-8型と言って、このゲームの設定を手掛けたAIの一人だ。もっとも、リノアのデータの中にC7-8型のデータが混ざってるって話だから、ベースのリノアに、C7-8型の能力が増えただけ。見た目はそのままリノアなので、俺はそのままリノアって呼んでいる。　　　　　　　　　　　リノアに増えた能力って言うのは、デステクノと言う、彼女達、初期AIが姿を消した時に死した能力。　　　　　　　　　　その効果は桁外れで、この世界の設定をねじまげる力を持っている。