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「足には自信あるんだぜ? ってか、こんなカッコじゃ不利だろ……」
瑞希が差すカッコというのは、スカートのことらしい。確かにスパッツとかガードルでも履いていなければ、全力疾走は望めない。
案の定、そんな無粋なものをスカートと一緒に着用することは認められていないとか。
「あーズボンなら勝機あるんだがなー、ちくしょー」
瑞希はぼやきながら、新たなおにぎりに手を伸ばした。ついでに俺の惣菜パンにも伸びてきたので引っぱたいておく。
「無償は許さんが、そんなに欲しいなら交換しようぜ。お前の《あおのり納豆》味のおにぎりと俺の《餡(あん)パン》」
「欲しいのそっちじゃねーから! どう考えても適当に選んだ奴だろそれ!? お菓子のあんこじゃなくて中華とかの餡じゃねーか!
中身ドロドロだよ! デブの血液の如くだぞ!!」
「そこまで言うなよ。デブに謝れ。……ごめん」
「将軍も思ってたのかよ! ボクが欲しいのはそっちの揚げパンだってば!」
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