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どこか古ぼけた石造りの校門を、見上げる。
「ふん、ざまぁみろ、エコ」
この俺がここまで要領よく事を運べたなんて思うと、自然と笑みがこぼれる。
エコは俺にべったりだった。
出会ったのは中学校からだが、その三年間、エコのいなかった日はほとんどない。総じてブラック企業の休日よりも少ないと言える。非常にうっとおしかった。
だから逃げた。一週間に二回は逃走してやった。実に休日の殆どを逃げ回った。しかし俺は一日が終わるまで逃走を果たしたことは、指で数えられるだけの回数だ。
たいてい先回りされているか、追いつかれるか、逃げる以前に捕まっているかだ。
それが、どうだろう。
俺はあらゆる知略と智謀を尽くして、この県立安曇野(あずみの)高校に入学した。
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