エコと信長の転校ゲーム

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 夢の共演という言葉を、テレビ屋はこぞって使い回し、視聴者を煽る。  別に夢でもないだろ、と俺は度々思う。天国に旅立ったムービースターと、そいつの息子が一同に会するのならば夢と言っても過言じゃないだろうけど。  六月の梅雨の不快感は、湿気と雨天が結託して生成した嫌がらせだ。地球と梅雨前線の悪夢の共演だ。悪夢の共演は夢よりも容易だ。  俺は購買での戦利品の菓子パンを眺めながら、自分の席に収まっていた。  狭苦しい教室では、各々が空いた机を寄せ合って昼食に興じている。その中で俺は、とある人物を待っていた。  そいつはもちろん、あの悪魔じみた奴じゃなく―― 「待たせたな、将軍!」
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