それぞれの行く路

4/50
前へ
/1099ページ
次へ
――――あの日、土方達に事情を全て話したものの、そう簡単には信じて貰えなかった。 仕方なく近藤や土方、引いては幹部の皆の生い立ちを、説明する事にして、未来から来た事を何とか証明しようとした。 そうしたら、土方以外の皆は驚き半分、戸惑い半分で何とか、納得というか事実を受け入れてくれた。 突破出来たか、と思いきや、土方一人だけ違う反応を見せ頑なに拒む。その態度に、流石は鬼の副長だと舌を巻きそうになった。 あくまでも土方は、雛乃を不審人物としか見てないようで近藤達に、反論を繰り返す。 雛乃を此処から追い出すべきだの、此処には女子はいらないだの、失礼な言葉ばかりを並べて。 もうすぐ十七歳になるのに、子供扱いされたのにはカチンときて、雛乃は思わず禁句でもある“言葉”を言ってしまった。 『頭が堅いんですね、豊玉さんは』と。 その一言で、部屋内の空気はガラリと変わってしまった。 苛立っていた土方の表情が驚愕に染まったり、沖田がプッと思わず吹き出したり。 訳が分からない近藤達は、ただただ目をしばたたかせていたが。
/1099ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11420人が本棚に入れています
本棚に追加