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「アカン。治療終わるまで離さへんよ。……治療は多少手荒ぅなるけど、文句はあらへんよな?」
初めて見る山崎の笑み。
だが、どす黒いそれに雛乃の表情は完全に固まった。
山崎が懐から取り出したのは小さな竹筒。その中身を湯飲みに注いでいく。
薬草を煎じて作ったというそれは怪しい色合いの液体。
褐色と深緑が混ざった色――雛乃の目には真っ黒にしか映らないそれは、飲めるような代物には決して見えなかった。
「明らかに危ない薬に見えるんですけど! 飲んだら失神しそうな感じですよ!?」
「安心しいや。以前三馬鹿……もとい原田はんらに飲ませとるし、安全性はあるやろ。……多分」
「多分って何ですか! 多分って!! ちょっとは真面目に……もがっ!!」
山崎は笑顔のまま、雛乃の身体を反転させ、頭を固定する。
「自業自得や。恨むんなら自分を恨みぃ」
その言葉と共に山崎は雛乃の口を無理矢理開けて、湯飲みの中身を口内へと流し込んだ。
暫くの間、雛乃の絶叫が屯所中に響いたのは言うまでもない。
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