猪突猛進

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雨が降る林を駆け、グラニは一先ず採取を中心に行っていた。 幸いと言うべきかこの周囲の環境が良いのか、薬草などの育ちが良く採取は上手くいき、少量ではあるが回復の手段を確保する事に成功。 だが、回復云々よりも大変な事が、今の彼の脳内に駆け巡る。 砥石がない。 砥石とはその名の通り研ぐ為の石であり、武器の切れ味を回復させるのに必要な物だ。 武器は豊富な種類があるが、どれもこれもモンスターを斬っていれば切れ味は落ちていく物だ。切れ味が落ちれば攻撃力にも影響し、何より本来なら斬れていたはずの肉質でさえ弾かれてしまう可能性もある。 それは本来ならば倒せるはずの敵を倒す事が出来ない、という事に。 となると、だ。 クエスト失敗 ↓ クロノぶちギレ ↓ ブ、チ、コ、ロ、シ、か、く、て、い、ね ↓ 惨殺劇 ↓ おめでとう。一同は称号“ユクモノアクマ”を手に入れた ↓ ↓ ↓ 始末書。 いかん、ダメだ、絶対にそんなのは。 モンスターとの激闘が生むのは何も人々の平安だけではない。当然、ハンターが吹き飛ばされれば土が抉れ、火炎弾を回避すれば木を破壊つくすだろう。 そうなると、当然のごとく戦場となった野原は荒野になってしまい、生態系に影響が出てしまう。 それを元通りとまではいかずとも、ある程度回復させなければならない。 実際に回復させる作業をするのはハンター達の仕事ではないが、そのための人件費や素材などの費用はギルドから支払われるのだ。 そして、彼らのチームは毎回のごとくその費用が半端なく、前いたギルドでは始末書を毎回書かされていたものだ。 主にグラニが。 「ったく、それに今回は正式な仕事じゃないし……あぁ、ギルドの顔合わせ前から目をつけれるのか………」 到着と同時に始末書を書かされる、というのは勘弁して欲しいものである。 雨が止む気配を見せる事はなく、地面を強く音が響く。 ふと、グラニは足を止めて周囲を見渡す。 「…………誰かいるのか!?」 人の気配がする。 そして、それは気のせい等ではなく、がさりと林が動く。 出てきたのは少女だ。ハンター等ではなく、普通の少女。 そして、その背後には凄まじいスピードで突進してくる影。 「………っ!」 咄嗟に後ろ腰に納刀している片手剣を抜き、それを影に向かって投擲。
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