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斬る事により闘気を溜め、放たれる一撃は見事な剣閃を描く優秀な武器である。
当初はグラニも片手剣と太刀の二択で迷ったのだが、結局は場所を取らない片手剣にしたのだ。太刀ならば簡単に作る事が出来る、と。
それがまさか、今必要になるとは。
改めてグラニとクロノは、まじまじとその太刀を見つめる。
反っている刃は間違いなく太刀であるが、その刀身は些か太いような気がする。
見た事のないタイプの太刀に目を奪われるが、がさりという音と共に顔を上げる。
もがき苦しんでいたドスファンゴが、目をぎらつかせ前片足で地面を擦りながら力を溜めているのが見えた。
だが、武器を得たなら話しは別だ。
「あ、あとこれを!」
そう言って少女が放り投げたのは、今この場でクロノが、希少価値の高い紅玉よりも欲している物。
「砥石げぇーっと!」
クロノの声が合図になったように、ドスファンゴが地を蹴る。
同時にグラニも駆け出し、太刀を振りかぶる。
ドスファンゴの突撃をギリギリで避けながら、グラニは太刀を振るう。それはまさしく交差するように見え、少女の息を飲む声が聞こえた。
ぶしゅりという音と血が弾けるが、構わずグラニは振り返ると同時に斬りつける。
太刀という長い得物に関わらず連撃を打ち込む姿は、どこにも呆れたりしていた彼はない。
確かに実力はクロノに遠く及ばないにしても、かつては友に戦地を駆けた上級ハンターである事に違いはないのだ。
肉で覆われているドスファンゴの身体はもはや血塗れであり、満身創痍といった感じである。それでも攻撃の手を緩めないのは、さすがはポッケのアクマの一員といったところか。
だが、ふと彼の手が止まった。
疲れたのかはわからないが、それはやられっぱなしのドスファンゴにしてみれば十分隙に見えた。
だから咆哮をあげ、最後の力を振り絞って突進しようと足に力を入れて………
突然、身体を後ろから叩かれて振り向く。
そこには満面の笑顔の悪魔(ハンター)が。
「今日は猪鍋ですネ(は ぁ と)」
大剣を力一杯振り下ろされ、ドスファンゴの脳天を直撃する。
まだ絶命していないが、もはや動く事叶わぬモンスターに片足で踏みつけ、笑みを浮かべる。
「悪ィなァ……誰敵に回してンのかわかってるのかァ?」
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