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ロイはロッカールームで私服に着替え、護衛担当のブレダに店の近くまで送らせた。「護衛を大佐の足にせんでください」と言うブレダの文句は無視して、店の前で待っているであろうリザに思いを馳せる。
店から少し離れた道路脇で降ろしてもらい、足早に目的地へと向かう。目指す先にリザが居るというだけで、自然と胸が高鳴る。
「お待たせ、リザ」
店の前で佇む金髪の美女を見つけたロイは、息を整えて声を掛けた。
「お疲れ様、…ロイ」
はにかみながらそう返され、ロイは不覚にも言葉が返せなかった。リザがロイのことを名前で、呼ぶのも滅多にないことなのだ。しかも愛らしい笑顔付きともなれば更にレアである。
「店に入りましょうか。予約もちゃんとしてあるんですよ」
「あ…ああ、そうだな」
普段とは違う言動のリザに振り回されているのを自覚しつつ、ロイはリザに続いて店へと入っていった。
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