序章

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――4月。 俺は慣れ親しんだ鹿児島を離れて、ここ北海道の地に引っ越してきた。 南国の鹿児島とは違って、北海道はとても寒い。 鹿児島生まれ鹿児島育ちの俺からすると、世界がひっくり返ったのではないか…とすら思えるほどである。 鹿児島にいた時はめったに降らなかった雪も、ここでは日常茶飯事だ。 最初の頃は雪を見る度にテンションが上がっていたが、今では鬱陶しい以外の何物でもない。 もっとも、それはお袋達も同じのようだ。 「マリア、駐車場の雪かきしてきて。お父さんが車だせないのよ」 ほら見ろ! こっちに来てもう何回目になるだろう。 鹿児島にいる俺の友よ…、雪なんて絶対に好きになるなよ! .
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