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偶然だった。 あの人を見つけたのは。いや見つけたといったら語弊がある。あの人が目に入ったのは、だ。 人込みの中で頭一つ分抜きん出ている銀色の髪が四方八方に向かってはねている。服装は今時流行の黒色のハンサムスーツ。そのアンバランスな風貌はどうしても目に入ってしまう。 思わず立ち止まってしまった。後ろにいた若いカップルに怪訝な顔をされたが気にもせずにずっと。 そのカップルに軽く頭を下げ、また歩いた。 今でもあの人が目に焼き付いて離れない。 どんな人なんだろう。 声は高い?低い? 明るい人?暗い人? 勝手に想像してみる。 あなたはあたしを連れ出してくれますか?
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