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一人が気楽なんて、まるで友達がいないみたいな発言だな…と思った。友達はいる。だけどわざわざあたしの予定に合わせてもらう程、その旅行には価値がないと思った。
だから一人旅。誰にも迷惑がかからないから。
「取引先までかなり時間がかかるから少し寝ていきな。朝早かったから眠いでしょ」
と不意に市上課長が話し掛けてきた。
確かに朝起きたら、まだ太陽は出てきていなかった。
「すいません。お言葉に甘えて少し眠らせてもらいます」
そう言ってあたしは鞄からウォークマンを取り出し、ヘッドホンを付けて眠ることにした。
ふと、前からスーツを着た男の人が歩いてきた。
そういえば、朝の銀髪の人…何してる人なんだろうか…スーツを着ているところを見ると社会人だろう。
もう少し…あの風に揺れる銀髪を見ていたかった…
そんなことを考えながらあたしは深い眠りに落ちていった。
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