969人が本棚に入れています
本棚に追加
皆が改めて座に治まると、小春の処遇が問題になる。
「あの娘のことはどうするつもりです?」
となみが鹿介に尋ねた。
鹿介は、
「何処ぞに良い家があれば養女に、と思うのですが…」
鹿介も、小春の次々と転変する身の上を思うと歯切れが悪くなってしまう。
八重は黙って俯くと何事か考え込んでいる。
なみは、そんな八重に視線を送り、
「それは、どうなんでしょうねぇ。」
とやはり考え込んでしまった。
翌日、朝餉を済ませた鹿介は、帰着の挨拶のため、立原久綱を尋ねようとしていた。
家を出掛けに、鹿介が鞋を履きかけると、八重がそれを引き留め、
「あの娘のことですけど。」
と話を向ける。
鹿介が八重に向き直ると、土間にいる小春にも八重の声が聞こえているのだろう、チラチラと二人の様子を見ているのが目に入った。
八重は思い切って、
「小春ちゃんを此処におくわけにはいきませんか?」
と続ける。
最初のコメントを投稿しよう!