ハッピーバレンタイン!!

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「私……私は……っ…」 何て言えばいいのだろう。 まず何をすべきなのだろう。 ヒースに嘘ついた事を謝るのが先? 佐々木くんの手から逃れるのが先? ……私が今、一番言いたいことは――…… 何? 「遠距離なんてなー、健全な高校生が我慢できるはずないよなー」 空気を全く読まない佐々木くん。 「…じゃあ、また連絡する」 それだけを言って、私に背を向けるヒース。 こんなの……嫌だ。 こんなつもりじゃ、なかったのに…! 「ヒー――……むごっ!」 「お前もいい加減諦めろ、な?俺にしとけって」 「んぐぁーー!!」 「将来有望だぜ?別荘くらい建ててやるから」 目がギンギンに赤い佐々木くん。 しかしいくら頭のネジがぶっ飛んでいようが、今回ばかりは本気で警察に突き出したくなる。 本気で、殴りたくなる。 そう、それは私だけでなく――…… 「――…地獄に落ちろ、変態ー!!」 「ぶほっ!!」 顔に体に、ぐるりと巻かれていた佐々木くんの腕が、ようやく外れた。 ゲホゲホと咳き込み倒れ込む私の横には、佐々木くんを足蹴に鬼のような顔をしたナナが。 ……手にはチューブ入り生クリーム。 「てめぇ佐々木……何したかわかってるよね…?」 「…あ?って……痛たたたたた?!何だ?!俺、何されてんだ?!」 「黙れ!その壊れた脳みそに糖分ぶち込んでやる!」 「ぬぐぉっ…!~~~~!!」 鼻の穴に生クリームを注入させられる佐々木くん。 よい子は真似しないでね♪ 「……ハツ」 「…………」 ナナの拷問にもだえる佐々木くんをぼんやりと見ていた私に、声がかかる。 見上げれば、サキと…… そして、ヒースが立っていた。 .
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