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――……同じ頃、とある道端にて。
「ぐぉおおぉぉ…!」
何てこった。
崎戸の野郎、クリームに何か仕込んでいたらしい。
腹が…!
死ぬーーー!!!
「み、見てねぇでっ…助けろ、紺野……!お前なら…な、治せんだろ…!」
「…やだ」
「て…めぇ……!」
どうやら崎戸に、『助けるな』と言われたらしいが。
目の前で大親友様が苦しんでいるってのに、んなの守っている場合かよ?!
「大親友?誰が?」
「フ…何言ってやがる……お前と俺様は…」
「ハツキに酷いことした」
「あ…?」
「ハツキ、嫌がってたのに」
「いやちょっと待――…うぐぅぅ!!マジやべぇー!頼む、紺野…!」
「ハツキに嫌がらせしないって誓うなら――……」
「誓う!!ついでにすっぱりさっぱり諦めるから!!」
「…わかった」
縮みこまった俺の腰に、手が当てられる。
スッと、痛みや不快感が消えていくのを感じながら、俺は思った。
(ハツキハツキって……少し会わねぇうちに、随分嫉妬深くなりやがったなこいつ…)
おそらく、本人はほぼ無自覚だろうがな。
遠距離なのが逆に、こいつにはいい効果だったって事か……
あーマジつまんねぇ。
こちとら受験戦争中だってのに。
「ん、終わった」
「……サンキュ」
「コリン、呼んできて」
「…あ?」
「ここから先、俺入れないから」
「……………」
腹の痛みで、気付かなかった。
いつの間にか、コリン家は目の前だった。
(…俺の腹を治したのは、玄関のチャイムを鳴らしに行かせるためだったんじゃねぇだろうな)
しらっとした顔の紺野を盗み見る。
……まぁ、どっちでもいいか。
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