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チョコ作りが終わったのは、もう日も沈んだ頃だった。
大量の板チョコを刻んだにも関わらず余ってしまった材料は、ひとまずナナの冷蔵庫にしまわれている。
私はできたての生チョコとチョコケーキ、チョコクッキーを持って、とある場所に来ていた。
「……あ」
テンテンと足下に転がってきたのは、バスケットボール。
転がってきた先には、ヒースがいた。
「…待たせてごめんね、ヒース」
「早かったよ。さっきまで佐々木とコリンもいたし」
「あはは、二人にも呼び出しかかったでしょ?」
「うん」
暗い体育館はひんやりとしていて、声がよく響く。
他二人を呼び出したナナとサキも校内にいるはずだから、声が聞こえてやしないかと少しドキドキする。
「荷物重そう」
「えっ」
「貸して。持つ」
「!ううん、いいの!あ……後で持って?」
「?…わかった」
ヒースの目が荷物に向いた瞬間、ギクリとしたものだが……
よかった。少しでもバレないようにと、外側は可愛くないにも程がある地味袋に入れた甲斐があった。
「…ヒース、いつまでいれるの?」
ボールを片付けるヒースの背中に問いかける。
明日までいるとは聞いていたが、『日付が変わってすぐ』という事もあり得るから。(以前レイに使われた手だ)
「お昼過ぎまで」
「…そっか」
「ハツキはいつまで?」
「え?」
「もう暗いけど。門限何時まで?」
グッと、顔が熱を帯びた。
まさか私に、こんな言葉を言う時がくるなんて――……
「今日は……か、帰らなくても、大丈夫なの」
…言っちゃったぁぁー!!
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