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いいの?
と、そう訊きたそうなヒースのキョトン顔が、恥ずかしくて直視できない。
「お、親には言ってあるから大丈夫だよ!…少しでも、ヒースといたくて……今日は徹夜しちゃおっかなって」
「…………」
「あ、ヒースは全然、寝ていいからね?!私はその間の暇つぶしに……ほら、パズル持ってきたから!」
私の部屋の隅に眠っていた、ルービックキューブを取り出して見せる。
ぐちゃぐちゃになっているその面々を、揃えるつもりはさらさらないのだが、まさか『ヒースの寝顔をずっと眺めてます』なんて言えるはずもなく、鞄に入れたものだ。
ヒースは私からルービックキューブを取ると、不思議そうな顔でそれを眺める。
「ルービックキューブって言うんだよ。一面を同じ色に揃えてくの。最後には、全部綺麗に揃えられるんだよ」
「面白いね。でも……」
私から説明を聞いた途端、カシャカシャとヒースはそれを操り出した。
見る見るうちに四面が揃って――……
「…できちゃった。凄いヒース!」
「これで暇つぶしやらなくていいね」
「え?」
「俺も今日は、寝ないことにする」
ぶはぁぁぁ!!
は、鼻血が出るかと思った…!
「……ハツキ顔赤い」
「うう…言わないでヒース」
「?じゃあ…黄色い」
「うん、そうなの」
ヒースはやんわりと笑った。
笑顔を見るのは、久しぶりだ。
暗いせいか、妖艶さもあるその笑顔に、私はますます顔が赤くなってしまう。
ああ。
私からの熱気で、チョコが溶けてしまわないか心配だ。
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