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「これとそれとあれと~」
「ちょっとサキ、まだ買うの?!」
天気の良い休日。
私はサキと一緒に、スーパーに来ていた。
私の持つ買い物籠には、どっさりと商品が入っている。
そのほとんどが、サキが入れたものだ。
「これもそれもあれも~♪」
「ねぇサキ、私にも予算というものが――……」
「気にしないで!私が援助するから」
「!それは駄目ー!これもこれも、無し!!」
「ええ~?」
次々といらないと思われる商品を戻しながら、膨れるサキの持つ籠をチラリと見た。
包装済みの小さなチョコレートが一つだけ、入っている。
「っていうかサキ!私の事より、自分の買い物しなきゃ」
「ん?私のはもう終わったよ~?」
「え?!でも、それ……」
「これがコリンくんの。えへ、可愛いでしょ?」
「駄ーー目ーーー!!!」
思わず叫んでしまった。
だって。
だって、だって…!
バレンタインだよ?!
女の子にとっても男の子にとっても、一大イベントだよ?!
ましてやコリンくんはサキの彼氏なんだよ?!
それをこんな……
お父さんにあげる義理チョコのような物だけだなんて…!!
「あはは、も~ハツは大袈裟だなぁ。もうカップルなんだから、この程度でも十分気持ちは伝わるのー」
「で?その手の物は何デスカ」
「これは、ハツがヒースくんに作るチョコケーキとチョコクッキーと生チョコとトリュフとチョコブラウニーとばななチョコとチョコプリンに添える、フォンダンショコラの材料だよ♪」
「これこそ大袈裟だよー!!!」
サキはどうやら、ヒースに鼻血を吹かせたいらしい。
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