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なんだかんだで買い物を済ませ、次に足を運んだのはナナの家。
「いらっしゃ――……げっ、何その量」
ですよね?!
「うう、サキがね…サキが……」
「うん、わかるよハツ。まぁ上がりな」
「ふふ♪お邪魔しまーす!」
通されたリビングには、ナナの両親がいた。
忙しい二人には珍しく、休日らしい。
私もサキも、笑顔で挨拶した。
そして私達は、キッチンへ。
「…よいしょっと」
「相変わらず広いねー、ナナんちのキッチン♪」
「少し広いからって調子こいた結果が、このレジ袋の量なわけ?」
「やだなー、違うよ!これは愛の大きさなの~」
「それでね、ナナ。サキがコリンくんにあげるのは、これなんだって」
「……はぁ?!」
ちんまりとしたそれを見せれば、私の思惑通りナナの雷が落ちた。
「ふざけんなサキ!!あんたも一緒に作るの!」
「え~でも、これハツの材料だよ?」
「こんだけあれば軽く一クラス分作れるし!ほら、エプロン」
「え~でも」
「問答無用!!ほら、手も洗って」
渋々ナナから借りたエプロンを着け、準備を始めるサキ。
サキが手を洗っている間に、ナナはサキがコリンくん用に買ったチョコを、サッと隠していた。
ナイス、ナナ!!
「さてと……じゃあ何を作る?」
「あのね、ヒースくんにはチョコケーキとチョコクッキーと――…」
「ストップ。とりあえず簡単な生チョコね、了解」
ムーっと膨れるサキをよそに、パラパラとレシピ本を捲るナナ。
こうしてバレンタインのチョコ作りは始まった。
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