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「ところでヒースは、明日のバレンタインこっち来れるの?」
チョコをトントンと刻みながら、ナナが訊いてきた。
「…今日、来るよ」
「は?今日?!」
「うん。今日の夜から、明日までいれるみたい」
「なんだ、びっくりした。クリスマス以来だよね?」
「うん」
クリスマスに会ってからというもの、電話さえ少ない状態だった。
お互い忙しかったのは事実だが、一体何度ナナやサキに泣きついただろうか。
「よかったね~ハツ!!我慢した分大学にも合格したんだから、いっぱいナデナデしてもらわなきゃ……ふふふふふ♪」
「…サキ、包丁掲げて笑わないで。なんかマジで怖い」
ナデナデはともかく。(考えるだけで鼻血が出そうだから)
そう、大学にはなんとか合格したのだが……
(ランク一つ落としたもんなぁ…)
ヒースに会えないからと、必死こいたわけではなかった。(むしろ正月なんかは、会えない寂しさに勉強手付かずだった)
まぁ、合格は合格だけどね!
それになんと、春からはサキも一緒なのだ。
ちなみにナナは、服飾系の専門学校に合格済みである。
「ナナはお菓子系の専門でもよかったのに~」
「迷ったけどね。でも私が行くとこ、料理コースもあるし」
「寂しくなるなぁ、専門遠いんでしょ?」
「遠いって言ってもここから通うから。……それは佐々木に言ってやりな」
「……………」
そういえば佐々木くん、県外の国公立に受かれば、その近くで一人暮らしになるんだっけ。
「本当に頭よかったんだね!」
「やっと実感してきたよねぇ。最近目が充血してるし、頑張ってるよなぁ~」
「ハツに『寂しい』って言われたら、もっとやる気出るかもよ」
「ううん、もしかしたら逆効果かも!『やっぱり宮本と離れて県外なんて嫌だ』なんて♪」
いくらなんでも、どんなに自惚れてみても、さすがにそれはないと思う。
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