ハッピーバレンタイン!!

6/23

121人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
「ほら、いらん気持ち込めないの!!シャキッとしな、シャキッと!」 「痛っ!」 落ち込む私たちに、ナナの尻叩きが下った。 「私も、今年は二人にはあげるつもりないから。ていうか毎年、そんなに重要なイベントじゃなかったでしょ。袋入りの飴を三人で割り勘した時もあったじゃん」 「それは酷い!」 「提案したの、あんただよハツ」 「そ、そうだっけ…?」 「とにかく!渡す相手がいるんだから、義理は考えないでその相手の事だけ考えて作りなさい!」 ああ、ナナ様天使様。 前髪についているチョコレートの欠片までもが、神々しく見える。 『はい、ナナ様!』 「わかればよろしい!」 こうしてまた、たわいない話をしながらチョコ作りを開始する。 そしてサキとコリンくんのキス事情について興奮していた時――…… ~♪♪♪ 「あ、電話」 私の携帯電話に、着信があった。 チョコくずまみれの手を急いで洗い、電話に出る。 相手は…… 「はいはいはー――…」 『もしもし』 「っ!ひっ!……ース」 『うん』 ヒースからだった。 途端に色んな意味で心臓をバクバクさせる私。 ……ヒースには、バレンタインの事は秘密なのだ。 ナナとサキを見やると、二人は大袈裟に動作をゆっくりとし始める。 顔を、これでもかとにやけさせながら。 『ハツキ、今どこ?』 「ええ?!ななななんで?!」 『こっちに着いたから』 「えっ、もう?!まだお昼なのに……」 『…まずかった?』 「?!そんなまさか……!」 とは言ったものの、ぶっちゃけまずい。 今すぐ会いたいのだが、チョコはまだ刻み終わってさえいないのだ。(何分、量が多いのである) .
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加