ハッピーバレンタイン!!

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ヒースを見た佐々木くんは、ダルそうに右手をあげ、「よっ」と挨拶した。 私は何故か冷や汗たらたらだ。 「…もしかして、佐々木と一緒だった?」 「え?!ち、違うよ、今偶然会ったんだよ!」 ……ああ、冷や汗の正体はこれだ。 ヒースが私を疑っているのが、嫌というほど分かる。 嘘をついた私が悪い、自業自得なのだが、どう説明すればいいのかわからずに変な態度ばかりをとってしまう。 「佐々木くんは、勉強ばっかりで疲れてたから、今休憩してたんだって!ね?」 「………………」 ……何故頷いてくれないの、佐々木くん? しかも何か、目つきがおかしいような――…… ――…グイッ 「?!」 突然私は佐々木くんに、肩を抱き寄せられた。 サッと血の気が引く。 「ちょっと、佐々木くん…!」 「…お前さ、何ヶ月ぶりにこっち来た?」 「1ヶ月とちょっと」 「へー?俺様はな、ほぼ毎日宮本と会ってる」 佐々木くんは何が言いたいのだろう。 必死にその手を振りほどこうとするも、力は強まるばかりだ。 ヒースの目の前で、こんなの嫌なのに……… (ヒース……) そして極めつけは、ヒースが何も言ってこないこと。 図々しい事に、私は彼が『ハツキを放して』と言ってくれることを期待していたのだ。 ……これも、私の自業自得? もしかしなくても、私、ヒースに何か誤解されているんじゃ…? 「それに今日は休日だが、こうして会ってる」 いつもの嫌がらせなのか、勉強のし過ぎでおかしくなっているのか、佐々木くんは止まらない。 私はたまらなくなって、口を開いた。 「ヒース、あのね――……」 「やっぱり忙しかったみたいだね」 「っ!違うよヒース、誤解だよ!!」 「誤解?何が?」 「……っ…」 …………何が? わからないよ。 ヒースが今、何を思っているのか…… 本当のところは、わからない。 .
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