第1話

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まだ猛暑が続く9月半ば。セミがうるさい。喉に汗が垂れる。 私、坂深舞(サカミマイ)は額をハンカチで拭いながら歩道を1人歩いていた。 「もうお母さんたら…お茶ぐらい自分で買いに行けッつーの」 私は小さな怒りを独り言の様に呟く。 高校生になってお使いとは、自分の中で少し恥ずかしい事だと思う。 しかも2リットルのお茶の為だけにとは… また脱力する。 まぁここでグチグチしてても暑いだけだと思い、私はスーパーに向かってまた歩いた。 「涼し~」 スーパーに入って第一声がそれだった。 ガラス一枚の境界線でこんなに温度が違うとは…素晴らしい 私は1人納得した。                            
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