ランチ

3/3
前へ
/50ページ
次へ
そうして、 ランチを食べながら、 多くの料理を運び、 注文を聞き、 レジを打つ、 君を眺めているのが好きだった。 君はどんなに忙しくても常に笑顔を絶やさない。 そんな君のおかげで、 いつも同じようなメニューを食べていても常に美味しく感じれた。 でも、 そんな日々も今日で最後になるかもしれない。 いつからか僕は、 ただ君の笑顔を見るだけでは耐えられなくなってしまった。 君をもっと知りたいと思い始めてしまったのだ。 とうとう前回の会計の際には、 僕は君に思わず言ってしまった。 「今度一緒に食事に行きたい」 そんな唐突な言葉に君は一瞬固まった後に、 赤くなって 「はっ・・はい」 と言葉に詰まっていた。 運の悪いことに その直後に他の客が会計に来てしまったので、 それ以上は何も言えずに店を出たけど、 今日こそはちゃんと君を誘いたいと思っている。 これで、 拒否されたなら僕はこの店に もう来れない。 君の笑顔を見に来れないだろう。 でも、それでもこのままの見てるだけの状況に 耐えれなくなってしまったのも事実。 僕は、 最後になるかもしれないランチをゆっくりと味わい席を立った。 そして、 君が笑顔で立つレジへ向かった。 席に置かれていた伝票と自分の携帯番号とメアドを書いた紙を握りしめて。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加